コーヒーブレイク

■コーヒーブレイク

　夫は先月55歳の誕生日を迎え定年となった。なったが継続雇用制度によって今までと何ら変わらず出社するので、あまり実感がない。

　ただ給与が大幅に減るらしいので、たぶん今月の給与明細で十分実感できるだろう。

　それにしても、とうとうこんな日が来るとは。

　きっと私が知らない苦労もたくさんあっただろうと思うと、本当に感謝しかない。

　先日スーパーで久しぶりに友人Ｔさんに会った。いつも温和な彼女がちょっとだけ困惑顔で「旦那が定年になってずっと家に居るのよ～」私は思わずプッと吹き出す「その微妙なニュアンス、解る～」旦那が居るのが嫌なのではない。

　ただこれまで自分の好きなように出来てたことが、少し不自由になって軽い苛立ちを覚えるだけなのだ。

　だから彼女の言葉には、新しい生活リズムが出来たらそれなりに、上手くやっていけるだろうという楽観的見方を含んでいる。

　数年後、夫が本格的定年（こういう言葉があるのか不安だが）を迎えたら、私たちはどんな日々を過ごすだろう。

　数年前から夫は、毎週末ごとにスーツをクリーニングに出し、ついでに底をつきそうな食品や日用品をチェックしては買ってくる。

　私と違って買い置きが無いと不安らしい。

　おかげでいざという時に焦らずに済み助かっているので、定年後もそうあって欲しいかな。

　そう言えば最近、こんなことがあったらしい。

　トイレットペーパーを買おうと店に立ち寄った際、ペットの餌が無くなりつつあるのを思い出した彼は、店に入るなりレジのお姉さんに「猫の餌ある？」「右手の奥です」しかし欲しい餌が無かったので、彼はトイレットペーパーだけをレジに持って行った。

　するとお姉さんはしげしげと彼を見て遠慮がちに「あの～これはトイレットペーパーですが」そうよね、そう言いたくもなりますってば。

（Ａ）

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★平成30年（2018年）４月１日　今宿タイムズ第427号