うわごと

■うわごと

　今年も最後の月を迎えた。

　冬枯れの色の無い時期に緑のクリスマスツリーに赤、金色、黄色のオーナメントが映える温かさにホッとするのは私だけではないだろう。

　クリスマスを迎え、恋人、家族にプレゼントを考えるのも楽しい。

　心のこもったプレゼントと言われるがなかなか難しい選択である。

　アメリカの小説家、オー・ヘンリーが残した短編小説に「賢者の贈り物」という作品がある。

　貧しい夫婦がいた。

　クリスマスプレゼントにデラは夫ジムに彼が持つ懐中時計にピッタリの鎖を送ろうと、自慢の美しく長いブロンドの髪をバッサリと切り、お金に換えた。

　夫ジムは、愛する妻の自慢の美しく長いブロンドの髪にピッタリの鼈甲の櫛を買うために、懐中時計を売ってしまう。

　クリスマスの日、2人はお互いのプレゼントを握りしめ、静かに抱擁し、唇を重ねる。

　相手を尊敬し、大事に思う。

　その為に自分の大切なものを犠牲にしてもかまわない心を描いた作品である。

　クリスチャンではないが、「聖書」の「使徒行伝・20章35節」に「受けるよりは、与えるほうが幸いである」という一節がある。

　無償の愛を説いた言葉である。

　毎年、たいして考えもせず、義理的に送っていたプレゼントを真剣に考えてみたい。

　決して高価なものが喜ばれる贈り物では無いのではなかろうか。

　温かなクリスマスを過ごされることを！

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■平成28年(2016年)12月1日今宿タイムズ411号