■テーマ説明
松本(司会)
本日は新春早々おくつろぎの所、恒例の「今宿タイムズ新春座談会」に御出席頂き有難うございます。
今年は「地域と子どもと小学校」をテーマにさせて頂き、これを機会に、地域も少子高齢化の中、大切な子ども達の健全な成長のお手伝いが出来ればと、考えております。日頃より、子ども達の教育に携わっておられる皆様の忌憚ない御意見を拝聴出来ればと、思っております。
■子ども達、小学校に対する地域の現状
龍
私が、3年前玄洋小に来た時は、680名だった児童数が今年4月には940名にもなる。玄洋・今宿とのつながりの少ない保護者が増えている現状がある。新しく転入してきた子ども達、保護者を包み込める風土が必要であり、その風土は地域、保護者、学校とのつながりによって形成されると思う。
学校では毎月、学校だより「玄洋っ子」を出しているが、このタイトルのように玄洋という地域に包まれ育つよう学校は地域としっかり繋がりながら「玄洋っ子」を育てている。
蓑田
今年3月末で38年の教員生活に終わりを迎える。今宿小学校は平成22年4月に9校目の学校として赴任した。その時こんな素晴らしい学校に移動させてもらったことに感動した。
子どもが素直で優しく元気がある。それは家族、保護者がしっかりしているからであり、保護者がしっかり根付いて生活する地域があるからだ。又、地域の人達が子ども達をよく見てくれている。
子ども達は青木の獅子舞、博多人形の絵付けなどの体験、大内氏による歴史の講話などにより、自分の住んでいる地域の素晴らしさを実感している。地域の素晴らしさは自治協議会、各種団体のつながりがしっかりしているからであろう。
努めて地域に出かけ、地域とのコミュニケーションをとるようにしている。
伊藤
私は福岡市PTA協議会の理事をしているが、他の学校の話を聞くとトラブルを抱えている学校も少なくない。今宿小にトラブルが少ないということは、地域との連携と子ども会が上手く機能しているのが要因だと思う。
子ども会への入会率も他校区に比べるとかなり高いのではなかろうか。しかし、地域に守られている分、子ども達はぬるま湯につかった感があり、競争に弱い気もする。
石岡
私は、副会長をしていますが、地域の情報は子どもを通じて聞くことが多い。玄洋校区の地域の方々は熱心に子ども達の安全を見守ってくれている。
「毎朝立っているおじさんがいなかったよ。病気で入院したらしいよ」など、子ども達は親より地域の方の行動をよく見ている気がする。
また、「あのおじさんが怖いから悪いことしないよ」との言葉が聞かれたあの昭和の時代がいい。私は誰でも叱ることが出来た昭和の時代が好きだ。しかし、他人の子を叱る行為は時代の流れとともに難しい状況になっている。
地域の方々が孫のように子ども達を可愛がってくれる。「有難う」という言葉をお返ししたい。
川上
今宿生まれの今宿育ちで他のことは知らないが、ここは自分が子どもの頃と変わらないし、しっかりした地域だと思う。PTAも知人が多くやりやすい。また、校長、会長もしっかり地域に係ってくれている。また、伊藤会長は休むことなく毎朝校門で挨拶活動を続けている。そんなおふたりの行動を見ているから素晴らしい子ども達が育っているのだと思う。
(校長・会長より…あんまほめんしゃんな。恥ずかしか。笑)
松永
自分も地元出身であり、全体的に玄洋小の子ども達が素直であると感じている。これは私が子どもの頃からだと思うが、周りに自然が多いせいではないかと思う。それに地域の方が昔も今もコミュニケーションを取ってくれる。だから、だんだんと都会化して知らない人には声をかけてはいけないような傾向を危惧している。
ここでは今も地域での見守りがある、何かあったら助けてくれると感じている。昨年、地域委員長をさせていただいて、地域の人から色んな情報を聞くにつれ本当に地域での見守りを実感した。本当に有難いと思っている。
牧園
ここは優しい人が多い。小さい子がいるので、散歩などしている時、知らないおじいちゃん、おばあちゃんが声をかけてくれたり、野菜を持たせてくれたりする。公園でのお母さん同士の声かけもあり、温かさだろう。
■地域の子ども達に対する係わり
松本
今迄の話を聞くと、今宿、玄洋は素晴らしいところでハッピーである。との御意見が多く聞かれるが、地域の子どもとの係わりについてご意見を伺いたい。
龍
平成23年は周船寺校区より玄洋小への通学は20名程度だったが、現在は150名ほどになっている。
この方々は通学している学校は玄洋小、所属している町内は周船寺校区と変則的になっている。またこの変則的な状況では家庭と地域の協力体制も整わない。
子ども会も周船寺になり、当然、玄洋小学校で行われる様々な情報も入らない。新しい地域からの通学路の安全も確保されず、見守りもない。
この状況にPTAが新しい町内会発足まで待てないと、通学路や見守りなど学校にかかわることに行動を起こしてくれた。これに伴い、参加が難しかった町内単位で行う行事、校区運動会、ドッジボール大会、駅伝大会などは地域が協力し、近接の玄洋町内会にもお願いし、一部を受け入れてもらうことにことになった。
各関係団体の尽力により、新町内は今年度、玄洋校区への移行期間とし地域としてのベースも位置づけられた。玄洋校区自治協、関係町内会長の皆さんが行政の協力を得ながら子ども達のために行動してくださったことには感謝の気持ちでいっぱいである。これは学校、家庭、子ども達、地域が一体となり向かい合わなければならない問題であろう。
松本
玄洋小、玄洋校区の場合、今迄にない状況がこの2~3年続いている。
今宿校区、玄洋校区在住の方以外の方の参加が続いているが、玄洋小の素晴らしい部分を大切に残しながら学校づくりをお願いしたい。
龍
いろんな方がいて、朝の学校では、前の地域では、との声が聞こえてくる。
学校の制度的なものにまで言及され、それが子ども達をギクシャクした形に、家庭同士のつながりに影響し、ひいては地域まで及ぶことを心配したが、PTA、学校、地域を中心に細かい動きをし、話し合いの機会を持ち解決した。
それはひとえに子ども達を大切にしようという想いからではないかと感謝する。
当時の地域委員の松永さんたちは苦労されたのではないか。
松永
新しい町内(地域)の地域委員さんは何も知らないところからの1からのスタートだった。私達は新しい町内の地域委員会活動がスムーズに行われるにはどのようにしたらよいのか考え、サポートした。新しい所だから大変だと思ってほしくなかった。私達は「大変だけど、楽しいね」との思いで協力してきた。その結果、子ども達、地域の方にも係っていただき来年度へと引き継ぐことが出来た。
『子どもの為』これがあれば楽しくできる。親が楽しくないと子どもも楽しくない。
松本
玄洋小学校だけではなく、今宿小学校も谷地区などの人口増で、新しい方の参加も多くなったのではないか。
蓑田
玄洋小学校の取り組みは素晴らしい。みならわなければならない部分が多々ある。新し人に対しては、古い人達が早く手を差し伸べ地域に取り組んで欲しい。保護者同士が仲良くする事が校区全体のスムーズな機能に大いに影響するものである。
私も以前失敗した校区を知っている。地の人が新しい人達門戸を開かず、又、新しい人も、入っていかなかった事でギクシャクした関係になり修復にかなりの時を要した。このように新しい人が地域になじめなかった場合、地域批判が、学校批判にエスカレートするようである。平成22年は西門側からの通学者は30名位であったが、現在は100名を超えている。それだけ今宿西の人口増がある。
早く地域の子ども会に抱き込んでほしい。
地域からの苦情、たとえば、子ども達が道いっぱいに通学して危ない。家の前で大声で話していく。などの場合はその場で子ども達に注意をしてほしい。それも地域の役目と思う。たしかに、昔の様に注意することが難しい状況になってきていることは、寂しいことであるが、そういうことのできる地域を育ててほしい。
子どもの成長と共に、親同士が疎遠になる傾向がみられる。せっかく出来た地域のコミュニケーションを大切にしてもらいたい。
伊藤
地元の方と転入者の方々の意識の相違があるようだ。子ども会の入会率も低いのでは。子ども会に於いて子ども達は縦の関係を学ぶ。ある意味ではPTAより大切な組織と思う。
蓑田校長の話のように、早く地元より手を差し伸べる事が大切である。
龍
ややもすれば、PTA、地域、子ども会はマンネリになりがちだが、新しい方達の「前の校区ではこうだった」との枠にとらわれない意見というのは、大いに参考になる。新しい物を取り入れ、昔からのいい伝統は守っていく姿勢が必要である。
伊藤
PTAは全員参加が原則だが、子ども会入会は任意参加で強制できるものではない。
松永
自分は入るものだと思っていたので、勧誘に来られたらすぐに入会した。玄洋校区の中には、全員参加の町内もある。
伊藤
今宿校区の中にもそのよう町内がある。
全員
問題はないのではと思う。
石岡
私も最近、子ども会に入会した。お誘いはあったのだが、親の仕事の都合で行事等に一緒に行けないときに他の方にお世話をかけるのは申し訳なく思って入っていなかった。しかし、親の都合で可愛そうな思いをさせた。今は笑顔いっぱいで楽しんでいる。
蓑田
子どもが可愛そうでしたね。子ども会は親の都合で考えるべきではない。しかし高学年になれば「役をやらなければならないから、子ども会を辞めなさい」との親があることを聞く。寂しい限りである。子どもは辞めたくないのに。
伊藤
両校区は祭りが多く、それが全て子ども会と関係しているのを、見逃してはならない。
■子ども、小学校に対する地域の役割
松本
子ども達に対する地域の役目、ある意味では家庭の役目についてのおはなしを伺いたい。ややもするとそれは家庭教育ではないかというところまで、学校にお願いしている部分も見られる。お子様をお持ちの読者に対する啓蒙の意味に於いてもお伺いしたい。
蓑田
基本的な生活習慣は家庭で教育すべきであろう。例えば、早寝、早起き、朝ご飯、言葉づかい、挨拶などは家庭で幼少期にきちんと躾ければ問題ない。
うざい、きもい、死ね、ばか、というような言葉は今宿小では禁句としている。
この様な言葉はどこで覚えてくるのかと言えば、家庭、地域の様な気がする。家庭での言葉づかい、両親の言葉づかいが影響を及ぼしているようである。
保護者の若い教師に対する言葉づかいも、多少気になることがある。それを子ども達は見ているので、その辺の配慮をお願いしたい。
龍
保護者と先生のコミュニケーションがとれていないと、いろいろ問題がおこる。学校で問題を起こした子どもは、保護者に自分が不利になるような報告はしないと思う。子どもの言うことを信じ正当化したい気持ちは十分理解できるが、冷静に問題に対応し、状況を判断してもらいたい。
教師と保護者との問題にも、PTA、地域が間に入ることで大きなトラブルにならずに解決することも多々ある。
おじいちゃん、おばあちゃんと一緒の家庭、地域に深いつながりのある家庭にはあまり問題がない様に思える。両親と子ども、又、一人で一生懸命育てている家庭は、地域につながることにより、多少、気楽になれるのではなかろうか。地域はそれを絶対拒否しない。
玄洋校区、今宿校区にはそのベースがある。
蓑田
38年の教師生活で保護者の意識が変わってきている。昔は保護者から「学校ではしっかり勉強を教えて下さい。躾けは家でやりますから。ビシビシやって下さい。」と言われていた。
今は自分の子どもの言い分のみを聞く保護者が多い気がする。教師とのコミュニケーションの大切さを考えてほしい。地域の皆で子育てをしていた時代、向こう三軒両隣の時代が今こそ必要な気がする。
伊藤
PTAでの父親の参加が少ない。
親の意識の変化は生活のゆとりの欠如かもしれない。
子どもは親の背中を見て育ち、行動に反映している。五行歌で「挨拶する子、無視する子、その子の家庭が見えてくる。」とうたったが、親は子の鏡である。
ある意味では地域の鏡かも知れない。
石岡
日頃より先生方は大変だと感じている。
先日子どもが友達とたわいのない口げんかの際に禁句言葉を相手から言われた。それに対してもきちんと先生が間に入って問題に対処してくれ、その報告も親にあった。学校内であったことを保護者まで報告される先生の大変さが解った。
私達も学校に預けているのだから先生に任せても大丈夫だろうとの認識が必要であろう。
松永
先生が子ども達との関係で、仲良くするとの気持ちで言葉づかい迄変えている傾向がある。家で敬語を教えても、先生との会話に生かされていない場合も見られる。低学年ではないようだが、高学年でため口は問題だろう。
地域での教育は必要であるが、それを良しとする傾向が失われつつある気はする。
龍
学校では言葉づかいの指導は大事にしている。
家での言葉づかいと他の場所での言葉づかいは違うのだということを見せ、話す場所、話す相手により変わるものだと認識させる必要がある。仲良くなれば言葉づかいはどうでもいいとの誤った考えを否定することが大事である。
松本
地域の役割の話が多少ずれた気もしますが、最後に地域に対する希望をお聞かせ願いたい。
■地域に対する希望
蓑田
学校に対する要望をもっと言ってほしい。
出来るだけの協力により、地域と学校、子ども達の関係を密にしたい。又、公民館は学校の近くにあるべきだと思う。公民館に出入りする人を見て、子ども達が地域を意識するのではなかろうか。
龍
地域に対する学校の情報発信がまだまだな気がする。地域の方が自由に出入りしてもらうように、門戸を開かなければと思う。
多くの方々が学校を見てもらうことで、子ども達の励みになる事が多い。学校が場を作り地域と保護者の接点となり子ども達に地域の一員としての自覚をもたせたい。日頃から地域には感謝している。
伊藤
地域に感謝している。特に見守りに対する多くの人の参加は有り難いことである。校長も言われたが学校に対してもっと要望してほしい。
石岡
今迄通り子ども達を見守っていただければと思う。ただもう少し地域の方が学校にかかわって頂けたら、との感はある。何時でも学校に来て頂きたい。これからも宜しくお願いします。
川上
今宿は今迄通りで問題はない。地域でも子ども会でも楽しくやっていきたい。宜しくお願いしいます。
松永
今迄通り子ども達を見守っていただければ有り難い。悪いことがあればどんどん叱っていただいて、保護者も、学校も、地域も一緒に子どもを育てていきたい。
牧園
役員をやって周りの皆さんの優しさを知った。今後、役員をやられる方にもこの雰囲気を知って欲しい、有難うございました。
松本
2時間にわたり貴重なご意見を頂き感謝申し上げます。今日の座談会で、今宿、玄洋校区では保護者と地域と小学校が三位一体として子ども達を愛し、守っていると感じました。これは今後も続けていただきたい。
最後に拙い司会でご迷惑をお掛けしたことをお詫びいたします。有難うございました。
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■平成26年(2014年)2月1日 第377号
・初日の出のように展望が明るい「今宿地区新春のつどい」
・井出の口ふみきりの拡幅 今宿校区自治協議会
・今宿子育てサロンぴよぴよ「お楽しみ会」
・玄洋校区社会福祉協議会「歳末ふれあい事業」
・地域育成講座「しめ縄作り」
・今宿校区社会福祉協議会 ふれあいネットワーク福祉研修
・今月の男女共同参画
・うわごと
・新春座談会 地域と子どもと小学校
・コーヒーブレイク
・[投稿]ねんりんピックよさこい高知2013 期間/2013年10月25日~29日に参加して
・玄洋句会 正月
・ご芳志の御礼