■コーヒーブレイク
5月20日に旧玄洋公民館跡にオープンした今宿の文化財展示室をのぞいてみた。
1階は西部地区の遺跡からの出土品を整理補修する埋蔵文化財整理室で、2階の展示室には近隣の遺跡から発掘された土器の破片や修復した物、石斧などが展示してあった。
展示された土器の破片を眺めていると、ふと野山を走り回っていた、子どもの頃が懐かしく思い出されてきた。
その頃の今宿小学校の周りは、三菱の工場以外は田んぼで運動場の南側の小高い丘陵の隣りに変電所と民家があるだけだった。
当時、小学校には飼育小屋があり、羊が飼われていた。飼育係だった私は、時々授業をさぼり、近くの野山へ餌やりを兼ねて羊を連れまわっていた。
そこが、今整備されている大塚古墳で、当時は、こんもりと木々が茂り、平地には畑があった。畑の隅には耕す時に出てきた石コロや土器の破片が無造作に積んであり、その中の模様がきれいな物を拾い、持ち帰っていた。
今山も小さい時からの遊び場だった。石斧を作る過程の粗割の玄武岩が足元に散らばっており、気に入ったものを拾って、土器の破片と一緒に宝物にしていた。 昭和30年代の今宿は、長垂や西松原の海岸線には松林が続き、単線の筑肥線は、蒸気機関車がモクモクと煙を吐き、ガタンゴトンと走る、のどかな田園風景が続いていた。
今は宅地開発が進み、高速道路やバイパスが通り、田畑が少なくなってきているが、まだまだ自然も残り、昔の良さが残っている。
文化財展示室の展示品は、まだ少ないが、元岡古墳群から見つかった刀「庚寅銘大刀」のレプリカもあり、興味深いものとなっていた。これから今宿の歴史を学ぶ拠点として、もっと充実した展示室になっていってほしい。
機会があれば今宿近郊の縄文・弥生・古墳時代のロマンに触れてみてはどうだろうか?