コーヒーブレイク

■コーヒーブレイク

　来年に結婚式を控え、今日も長女は「式場の打ち合わせがある」とバタバタと家を出て行った。

　その空気感が微妙に家族全体に影響して落ち着かない。

　長女のお相手は就職で配属された支店にいた3つ上の先輩で、とても社交的なスポーツマン。

　面白いことに彼のお姉さんと長女の名前は漢字まで一緒だ。

　長女曰く「仕事ができて頼りがいがあって優しい」かれはこの春から転勤でK市に住んでいる。

　彼は週末ごとにウチに来るのでそんなに遠距離感もないと思うが、ここは盛り上がり所だったのだろう、一気に結婚へと話が進んだ。

　私の若い頃は「寿退社」が一般的だったが、今は結婚後も働く女性が増え、男性もまた共働きを希望する人が増えているらしい。

　長女もまた、とりあえずは結婚後も仕事を続けたいと思っている。

　そんな中、長女らが勤めている会社が今期「パートナー制度」を導入した。

　これは同社員が結婚後も「夫婦で」働きやすいようにそれぞれ近くの支店に配属するという画期的な制度である。

　かつて女性が働く職場には「肩たたき」という言葉があったのが嘘のようだ。

　今月末の異動でこの制度を利用したい長女らは、先月の結納と同時に入籍した。

　ただしこれには入籍と同時に戸籍上「独身」ではなくなった彼は寮を出され、アパート暮らしを強いられるというちょっと切ないオチも付くのだが。

　ともあれ「なにを着ようか」と悩む義母に、単純に式そのものに興味津々な次女、「やっぱり泣くかなぁ」と心中複雑であろう夫。

　そわそわと落ち着かない。

　私は2人で式を使うリング・ピローを作りながら、長女の花嫁姿を想像してにやけている。

　そうそう、長女と同じ名前の彼のお姉さんは、今年ウチと同じ苗字の方と結婚した。

　今やあ両家の娘の名前が入れ替わった状態なのである…お？オチ付いたみたい。

（A)

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★今宿タイムズ 2016年10月1日第409号