今宿五行歌会（電話）

■今宿五行歌会（電話）

家に電話が初めて来た日
時報や
天気予報に
何度もかけた
うれしくて…
　　　　　　　　　　　　　宮島かつえ

若い頃
立ってお喋りしてた長電話
今、足、腰、弱り
座って喋る
電話で老を感じる
　　　　　　　　　　　　　廣瀬　廣子

消えていく
公衆電話
昭和の文明の利器も
新しい利器に
流され消えていく
　　　　　　　　　　　　　有家　寛子

「はい」と受話器をとれば
「おれ、おれ、と」
向こうから
「おれでは分からない」と返す
詐欺師男は無言に
　　　　　　　　　　　　　南　七七子

「老いるのも
悪くないね」と
友人からの
電話がかかる
おまけに渋い歌声も
　　　　　　　　　　　　　のぎたえいほ

友より咽の手術で
声を失い筆談生活
電話は話せない知らせ
メールで連絡しつつ
助かった命に感謝
　　　　　　　　　　　　　倉光　園江

ラッパに向かって
話した頃は
近所のお店にあるのみ
今では一人一機
電話も世間も大変貌
　　　　　　　　　　　　　林　淑子

ケイタイやスマホは
私たちから
羞恥心とか配慮とか
大切なものを
奪ってしまったようだ
　　　　　　　　　　　　　高原美智子

昔　公衆電話　今　携帯
遅刻の連絡　便利になった
待ち合わせの行き違いもなくなった
これからスマホにタブレット
便利　便利は止まらない
　　　　　　　　　　　　　杉本　明美

一家に一台の固定電話
今や一人に一台の携帯電話
老いも若きも幼子も
　何時でも、何処でも
誰られ絆を結ぶ
　　　　　　　　　　　　　山中せつ子

母の日　不器用な息子の
ハートマークと笑顔マーク
のついた
ほっこり携帯メール
良いかもね
いま風の気持伝達法
　　　　　　　　　　　　　井上　房子

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