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シノちゃんVOICE Voice.1 (2014年3月5日号)
勝ちたいと思っている人より一番楽しいと思っている人が勝つと思います。
高校生プロレーサー坂口夏月さん(18)
福岡市西区在住の高校生が、F1レーサーを目指して、今年ホンダフォーミュラドリームプロジェクトに所属することとなり、3月からはF4レーサーとしてデビューすると聞きました。そんな凄い高校生だったら取材させてもらうしかないと、大野城市の仮設のカート場で開催された、キッズカートスクールで講師を務めていた坂口選手を訪ねました。
初めてカーレースを見たのは五歳
夏月選手がまだ幼稚園児の頃テレビのF1の番組を観たそうです。あまりにもカッコよくて、幼稚園の卒園文集にF1レーサーになりたいと書いたそうです。そして、小学2年生の時、お母さんが粕屋のレンタルカート場に連れいってくれたそうです。夏月君は、初めてカートに乗った時から、スピードを恐れることなく、アクセルをどんどんふかしていたそうです。
3年生になってカートの全国大会でいきなり3位に入賞し、父親の正志さんは夏月君のドライビングの才能を伸ばしてやろうと、伝手を頼っていい指導者を捜していたそうです
道上龍(みちがみりょう)氏との出合い
夏月君が小学6年生の頃に道上龍氏が率いる国内最高峰のカートチーム「京商RM」の選抜メンバーになることができたのが、その後の夏月君のレース人生の大きな転機となったようです。道上氏に出会って夏月君はレースに対する取り組みをもう一段高めて、結果を出してF1レーサーになろうと本気で決意したそうです。
夏月君がとにかくカッコいいという道上氏の指導を受けて、着実に力を着けていった15歳のとき、道上氏が監督として率いている「ART グランプリ ジャパン レーシングチーム」に所属できたのです。同チームは現役F1レーサー、ルイス・ハミルトンやフェリペ・マッサ、ロマン・グロージャンを輩出した実力派チームなのです。
今年3月からF4に参戦予定
昨年高校2年のとき、元F1レーサー中嶋悟氏が校長を務める「鈴鹿サーキット・レーシングスクール・フォーミュラ」に夏月君は入校しました。同校は佐藤琢磨を輩出した名門で、本来4段階のステップがあり、約一〇〇名の候補生の中から第3段階を乗り越えた8名の候補者の中に夏月君は入れたのです。
世界で通用するドライバーを育成する同校のカリキュラムを月2回三重県の鈴鹿に通い、本年度首席で卒業され、2名の枠しかないホンダフォーミュラドリームプロジェクト(HFDP)にめでたく所属することができました。この3月からF4のレースに14戦、全国を転戦して、いい戦績を残せばF3、そしてその先に目標のF1レーサーへの道が繋がっているわけです。
レースをしてる時が一番楽しい
18歳で将来の仕事が明確にできて幸せですか?という質問に、夏月君は
「レースをするのが楽しくてしょうがないです。」
という答えが返ってきました。実力が有りハンサムなのに、驕ることもなく大人しそうな普通の高校生らしい表情していて、穏やかな口調で自然体で一語一語ていねいに言葉を考えて話す様子には、全く気負いが感じられません。
夏月君の父親の正志氏にどうやったら、こんな才能豊かで、性格もいい好青年に育つのでしょう?と聞くと。
「自分は京都の社寺仏閣の職人として仕込まれた。だから同じように、我を無くし、素直な目で本物を観て本質をつかめと教えた。とにかくぶれない男になるよう仕込んだつもりだ。自分がこうなって欲しいという男になってくれた。」
おそらく子どもにレースをさせるためにご両親はいろいろ御苦労があったと思うのですが、きっとその大変さを夏月選手は理解していて、カーレース以外のことにあまり欲を示さないとのこと。
彼の強さの秘密を聞こうと、ちょうどソチオリンピックの最中だったのでどういう人が金メダルをとれる人だと思いますか?という質問を投げた。すると夏月選手の答えは
「勝ちたいと思っている人ではなく、ゲームを一番楽しいと思っている人だと思います。」
という答えでした。レースが始まればスイッチが入り、楽しくてしょうがないという夏月選手らしい答えでした。
最後に夏月選手に、何かの夢に挑戦しようという人にアドバイスをするとしたら何と言いますか?と聞くと
「プレッシャーも含めて全部楽しんだら夢は叶うんじゃないですか。」
という彼らしい答えが返ってきました。
世界中でF1の年間のレースにドライバーとして参戦できるのは、20数名しかいません。しかし飄々としてこの過酷な競争の世界に夏月選手は挑んでいます。読者の皆様がこの福岡から世界に挑む若者を応援していただければありがたいです。
坂口夏月オフィシャルサイト
www.natsu-sakaguchi.com
編集後記
読売新聞センター今宿の篠原さんと最初に、こういうペーパーを作ろうと話し合ったのが去年の12月10日で、やっと第一号ができました。今回は坂口さんところの夏月選手を取材させていただきました。彼が今後出世してF1レーサーになったら、こういう取材も簡単に受けてはもらえなくなると思うし、ぜひそうなるといいなあという想いも込めて取材させていただきました。今後も世間にもっと知ってほしい逸材を取材してきますので、今後もこのペーパーが続けられるよう応援してください。
取材・撮影・編集・デザイン 嶋崎
シノちゃんVOICEについて
初めまして、読売新聞の配達を行っている読売センター所長の篠原です。当社は福岡市西区の姪浜から西の地区、二丈地区以外の糸島市、それに吉野ケ里を加えた地区に読売新聞を配っています。
日頃新聞をずっと配っているのですが、ときどき、こういうことを地元の人に伝えられたらいいなとか、こういう人物をもっと紹介してあげられたら、地元のためになるのにと思うことが有り、何か情報を発信する媒体を作って、もっと地元に貢献しようと思い立ち、この「シノちゃんボイス」の発行となりました。
新聞離れの進む小中高生にとっても刺激になるような情報を届けられたらと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2014年3月5日号
発行/篠原清隆
読売センター
今宿・周船寺・姪浜・志摩・前原・吉野ヶ里
編集人/嶋崎達哉
福岡市西区今宿駅前1-5-5
TEL 092-806-0461
FAX 092-806-0463